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リハビリテーション

 

365日リハビリテーションを実施できる体制

西条市民病院では(回復期病棟)高齢者の入院患者も多くあり、廃用症候群の撲滅を目標に取り組んでいます。廃用症候群は安静臥床によって生じてしまうものであり、特に入院中は活動する機会も少なく体力や筋力の低下に繋がりやすい環境にあります。
 
怪我の受傷や手術後などは活動が制限され、ベッド上安静を強いられることもありますが、当院ではベッド上で運動が可能な下肢訓練器(2METSボード)を使用して可能な範囲での運動を早期より実施し、体力の維持に努めています。その他、状態の回復に合わせて伸び上がりボードや筋力測定が可能なエルゴメータなどの運動機器等を使用し患者さん本人の活動を中心としたリハビリテーションを展開しています。

さらに、入院生活が活性化するように病棟でのイベントと活動も頻繁に開催しているほか、隣接の畑での農作業や園芸作業なども実施できるようになっています。入院患者さんであっても、身近に季節感を感じてもらうことも大切なリハビリだと考えています。
 
回復期病棟は在宅復帰を目指している病棟でもあり、当院では365日リハビリテーションを実施できる体制をとり、集中的なリハビリを実施しております。
 
さらに、基本的に入院早期での在宅調査を実施しております。退院後の環境を把握する事でリハビリテーションの目標が明確化され、運動内容もそれに合わせた環境に実施していきます。また、必要に応じて退院前にも本人様同行のもと自宅生活のチェックも行い、不安を自信へと変えて退院していただくことを目標としております。

 
 

症例1:再び在宅生活と地域活動へ

今から紹介する患者さんは、他院でリハビリをされていた右大腿骨人工関節置換術術後の症例です。明るく社交的な性格で友人との交流も多く、以前は公民館での地域活動に積極的に参加されていました。
 
入院当初は、歩行器での移動にも不安があり、以前のように歩けるようになりたいと話されていました。本人や家族を交え入院時に家屋調査を実施することで、リハビリ開始当初から自宅での生活環境を具体的に把握することができました。そのため、ゴールである自宅生活を想定したリハビリプログラムが立案でき、退院までの期間自宅に近い環境で繰り返し練習を実施できました。T字杖歩行へと移行した頃より、スーパーや公民館などに歩いて行けるようになりたいとの希望がありましたが、不安が強くあったため、普段通っている自宅周辺施設へ実際に行ってみることを提案しました。
 
実際行ってみると、不安に思っていたことができるようになっており、本人の不安は自信へと変わりました。不安を感じていたことも解消され、自信を持って自宅へ帰ることができました。このように自宅での日常生活動作に目を向けるだけでなく、地域活動にも参加していけるようにアプローチしていくことが大切だと感じました。

 
 

症例2:在宅復帰に向けた活動的なアプローチに取り組んで

紹介する患者さんは、脊髄不全損傷を呈し、受傷から2ヶ月目で当院回復期病棟へ入院となった症例です。入院当初の心境は、「家に帰って周囲に迷惑をかけたくない、自分の足ではないみたい」などと歩くことに関して諦めがあり、回復に不安を抱いていました。段階的な身体機能の向上に合わせ、訓練機器を使用した運動と生活動作を中心とした活動的なアプローチを取り入れました。

リハビリ開始当初は、「こんなことをして足が動くようになるのか」と半信半疑でした。入院10週目で、下肢の筋力が徐々に回復し、モチベーションも向上しました。受傷後初めて帰宅しましたが、本人自身では何も出来ないことに腹が立ち、整った環境や家族の援助がないと自宅で生活が送れないことを実感しました。そこで、改めて一緒にゴールを明確にし、環境調整や自宅内を想定した起居移乗動作練習・移動動作練習を進めていきました。また、家族の協力も必要となるため介助方法の指導も並行して行っていきました。そして社会への参加としては、本人の楽しみであったスポーツチームの練習へ顔を出すことが可能となりました。最終では「ある程度生活ができ、動作ができるようになって嬉しかった」と笑顔も増え、前向きな言葉が聞かれるようになっていました。

身体機能の状況が変化しても、家屋環境の調整や福祉用具の活用を促すことで、自宅での生活を送ることを可能にすることができました。また周りの人たちとも協力し合って、あきらめずに取り組んでいく姿勢が大切だと思いました。